海辺のアップサイクリスト

価値観の見直しによって生活を好循環させること

2017-01-01から1年間の記事一覧

「道化の涙に映る虹」第36話

前話 upcyclist.hatenablog.com カーテンを超えて貴男の薄目に容赦なく差し込む日差し。そして、鮮やかなブルー。 否応が無くポートレートを撮って来いと言わんばかりの快晴だった。 昼まで寝たいという誘惑を断ち切り、貴男は布団を跳ね除け飛び起きた。 仕…

「道化の涙に映る虹」第35話

前話 upcyclist.hatenablog.com 「ゴメン。アンナ、いろいろあって疑り深くなっているんだ。赦してほしい。お金は無いけど友達でいてくれたら嬉しい」 半日ぐらい時間が経過したころにアンナから返信があった。 「タカは日本人なのにお金無いの?まあいっか…

「道化の涙に映る虹」第34話

前話 upcyclist.hatenablog.com 仕事中に容赦なく睡魔が襲う。 貴男は、中抜けの時間に一時間程仮眠を取り、目覚ましのエスプレッソを飲みながらスマホをタップしてLINEを開いた。 真っ赤なバラの様なチュチュを身に纏ったアンナ、そのトップ画像をタップし…

「スピードを求める本質」

人や動物、乗り物等のレース、配送や調理等の作業時間、その他、種々の速さ(早さ)を要求される事柄。 時短術大全 出版社/メーカー: KADOKAWA / 中経出版 発売日: 2017/09/01 メディア: Kindle版 この商品を含むブログを見る 「ほったらかし調理」と「時短…

「道化の涙に映る虹」第33話

前話 upcyclist.hatenablog.com 寝ようとしても目が冴える。 夜中を三時過ぎた辺りからウトウトし、やっと眠りについた。 「パパ、今までありがとう。さようなら」 成人式の晴れ着を纏った美月は、貴男に背を向け歩き出した。 「美月、待ってくれ。本当に悪…

「胞子の奉伺(ほうし)」

人類の宿主は地球であり、人類は寄生虫や菌類の一つにしか過ぎない。 宿主が死ぬと寄生している生物も死ぬ。 従って、寄生する生物は宿主に害を及ぼさないものが多い。 自然破壊程度の環境破壊は、人類の環境を破壊することであり、地球の環境は破壊しない。…

「道化の涙に映る虹」第32話

前話 upcyclist.hatenablog.com どこまで芝居を続けるつもりなのだろうか。 いずれ会いたいだの、金をくれだの言ってくるだろう。 貴男は暇潰しと空しさの間で返信を続けた。 勤務を終え、ジャケットの内ポケットからスマホを取り出すとLINEの着信を知らせる…

「道化の涙に映る虹」第31話

前話 upcyclist.hatenablog.com ミラ・ジョヴォヴィッチばりの美人。 いくらウクライナに美人が多くても、この写真はやり過ぎだ。 貴男のテンションは下がり、自分からLINEする気も起きなくなっていた。 翌日の朝、貴男は身支度を整えながら、充電器に挿した…

「道化の涙に映る虹」第30話

前話 upcyclist.hatenablog.com やはり詐欺業者か…。 当初から、日本人の成りすましか、六本木辺りで働いているウクライナ人の可能性も排除していなかった貴男は、モデルの様なアンナの添付画像見た瞬間、確信へと変わっていた。 最初から出来過ぎた話しだっ…

「道化の涙に映る虹」第29話

前話 upcyclist.hatenablog.com To bittukuri こんにちは ビックリさん ペンネームは驚く方のビックリだったんですね。笑いましたよ。 何にビックリしたのですか? キエフに遊びに行く時は、是非案内をお願いします。 僕が今住んでいるのは、静岡でも東の伊…

「生きることは痛みに耐えること」

他人に改めて痛々しい等と言われるまでもなく、痛みに耐えながら生きる自分。 人生は本当に辛い。 周囲の人を見てもそう思う。 心の痛み、身体の痛み。 図解入門よくわかる痛み・鎮痛の基本としくみ (How‐nual Visual Guide Book) 作者: 伊藤和憲 出版社/メ…

「道化の涙に映る虹」第28話

前話 upcyclist.hatenablog.com あくる日の夜にメールの返信があった。 From bittukuri こんにちは(^^)こちらこそ、よろしくお願いします。返事、心からありがとう^^スゴイ嬉しかったです。私は30歳の女性で、キエフに住んでいます。 私の日本語を褒めて…

「道化の涙に映る虹」第27話

前話 upcyclist.hatenablog.com 貴男はペンパルサイトにユーザー登録した。 サイトの趣旨は、あくまで幅広い文通相手を探すというのを目的としたもので、露骨に交際を求めることを禁止すると表示されていたが、交際することが本来の目的ではない貴男にとって…

「道化の涙に映る虹」第26話

前話 upcyclist.hatenablog.com ディスプレイの消えたスマホを握ったまま茫然自失となった貴男。 暫くすると、心は惨めな気持ちで大量出血を起していた。 応急処置が必要だったが、夜中の救急病院は24時間営業のスーパーしか無かった。 トールワゴンは救急車…

アップサイクルの原点

皆さんは愛着があるモノとお別れする時、寂しくなったりしませんか? 私は寂しくなります。 長年世話になったモノは、生活の一部となり、身体の一部となり、思い出などもあるでしょう。 でも、やがて古くなって、壊れたり使わなくなったりする。 それをその…

「道化の涙に映る虹」第25話

前話upcyclist.hatenablog.com 深々としたお辞儀に、沙織の心境の変化を感じ取った貴男だった。 空白の二年。沙織に何があったのか? 寝付けずにいた貴男は、天井を見つめ当ての無い自問を繰り返していた。 決着をつけるため、沙織に確かめようとも思ったが…

「道化の涙に映る虹」第24話

前話 upcyclist.hatenablog.com あれから二年。 狭い町ゆえ、知り合いの車に遭遇することはちょくちょくあったが、沙織の車と遭遇するのは初めてであった。 二年も出会うことが無かった事実に、何故だと思う反面、素直に運命と信じても良いと貴男は思った。 …

「道化の涙に映る虹」第23話

前話 upcyclist.hatenablog.com 二日程して沙織からメールが入っていた。 「こんばんは この間はごめんなさいm(_ _)m 医療事務は初めてなので、覚えることがたくさんあってなかなか時間が取れませんでした。貴男さんに逢いたいけど、当分の間は、以前の様に…

「道化の涙に映る虹」第22話

前話upcyclist.hatenablog.com 沙織が退職した後、販売部長とパートが売店業務を行っていたが、三週間後には新入社員がレジに就いた。 沙織の姿が売店に無くても、プライベートで繋がった貴男には寂しさは無かった。 しばらくして、沙織に新しい勤め口が決ま…

「森羅万象の入門書」

お題「森羅万象」 森羅万象の入門書は国語辞典である。『広辞苑』や『大辞林』があればなお望ましい。 広辞苑 第七版(普通版) 作者: 新村出 出版社/メーカー: 岩波書店 発売日: 2018/01/12 メディア: 大型本 この商品を含むブログ (2件) を見る 大辞林 第三…

「道化の涙に映る虹」第21話

前話upcyclist.hatenablog.com 日頃から眠りが浅い貴男は物音に敏感で、微かな寝息に目を醒ました。 そうだ、沙織は泊ったんだ。 昨日のことを反芻(はんすう)するが、断片的な記憶に不安だけが募る。 だが、スッピンの安心しきった寝顔を見ているうちに、…

「道化の涙に映る虹」第20話

前話 upcyclist.hatenablog.com 「うちの方は価値観のズレ。それが大きくなったことかな。そして引き金になったのは、経営していた会社の倒産。よくある話だよ」 「でもお子さんいたんですよね?やり直すとかは」 「もう大きいし、それに仕事に熱中するあま…

「道化の涙に映る虹」第19話

前話 upcyclist.hatenablog.com 貴男は続けざまにシェーカーを振るう。 トップを外したシェーカーから、氷の入ったワイングラスにペールピンクの液体が注がれる。 「それは何ですか?」 「ラムベースのイスラデピノスという名のカクテルだよ。スペイン語でパ…

「道化の涙に映る虹」第18話

前話 upcyclist.hatenablog.com 貴男は、小さな棚から、チェリー・ブランデー、ブランデー、オレンジ・キュラソーのミニチュアボトルを取り出しカウンターに並べる。 「可愛い」 香水の小瓶でも見るように、ミニチュアボトルを一本、一本持ち上げて見つめる…

「道化の涙に映る虹」第17話

前話 upcyclist.hatenablog.com upcyclist.hatenablog.com 「どんなお店ですか?」 「候補は二軒あって、一軒目はセルフBAR〔自分勝手〕で、二軒目は〔Bar廃屋〕って店なんだけど」 「フフッ、何ですかそれ、どちらもふざけた店名ですね。全然おしゃれな感じ…

「道化の涙に映る虹」第16話

前話 upcyclist.hatenablog.com upcyclist.hatenablog.com 「さあ、そろそろ二次会に、と言いたいところだけど実は代行頼んじゃったんだよね」軽く舌を出す奈緒美。 「そうなんだ。ありがとう」 と返す沙織。 「もうそんな時間?」 貴男のパテックは21:41を…

「道化の涙に映る虹」第15話

前話 upcyclist.hatenablog.com upcyclist.hatenablog.com 沙織が有休消化に入る前日に、奈緒美、有里子、貴男の参加で、ささやかな送別会が開かれることになった。 「ここ行ったことある?」 PCのディスプレイを見ている貴男の視界に、奈緒美はキーボードの…

「エゴとは」

エゴ 「エゴ」という単語を聞いて、どんな印象を受けるだろうか?殆どの人は我がままだという意味合いで捉えるだろう。 我がままの意味で捉えがちである。 egoismつまり利己主義の解釈からそうなる。 本来の意味は「自我」であり。他者との違いを認識した時…

「AIは愛となるか?」

吾輩は愚者である。 何故ならば、知識ではなく経験重視、すなわち、歴史に学ばず、経験に学ぶからである。 ビスマルクが涙する弩級の愚者であることは否定できない。 今回、そんな私の心をくすぐったのはAI(人工知能) AIとやらを経験してみたい。経験も無…

「廃材より廃人(ポンコツ)である私のアップサイクル」

「俳人」と言いたいが「廃人」寄りの私。 本当にアップサイクルが必要なのは廃材ではなく、自分自身だと気が付くのに長い年月を要した。 頭の中にあるものをデザインしてアウトプットする。その表現によって自分自身に価値を付加し、再構築することで新たな…