「道化の涙に映る虹」第31話
前話
ミラ・ジョヴォヴィッチばりの美人。
いくらウクライナに美人が多くても、この写真はやり過ぎだ。
貴男のテンションは下がり、自分からLINEする気も起きなくなっていた。
翌日の朝、貴男は身支度を整えながら、充電器に挿したスマホに目をやるとLINEの着信を知らせるランプが点滅していた。
写真と文字のキャラクター性が一致しない。
違和感を持った貴男は返信しないでそのまま出勤した。
交代で遅めの昼食を取り、近くの海岸を散歩する貴男の脳裏には、相変わらず沙織の残像が浮かんでいた。
貴男は、スマホの時計アプリから世界時計を選択し、キエフの現在時刻を確認した。
貴男は仕方なくサイコロを投げ入れた。
詐欺業者を揶揄うつもりが逆に揶揄われ、貴男は少しムッとした。
どのタイミングで化けの皮を剥いでやろうか。
手の込んだ三文芝居に苦笑する貴男だった。