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海辺のアップサイクリスト

アップサイクルとは、不要な廃材にデザイン等の付加価値を施して新たな製品に昇華させること。リサイクル、リユースの上をいく循環型環境ビジネスです。クリエイターの視点で提案していきます。

「道化の涙に映る虹」第33話

Serial novel Serial novel-第33話

前話

upcyclist.hatenablog.com

 

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 寝ようとしても目が冴える。

 

夜中を三時過ぎた辺りからウトウトし、やっと眠りについた。

 

「パパ、今までありがとう。さようなら」

 

成人式の晴れ着を纏った美月は、貴男に背を向け歩き出した。

 

「美月、待ってくれ。本当に悪かった」

 

自分の叫び声で貴男は目を醒ました。

 

目尻は乾いた涙でザラザラしていた。

 

 

 

「大丈夫、学費は何とかする」

 

会社を潰した貴男は、父親としてのプライドと、自分の様に借金を背負わせたくないという思いから、ギリギリまで金策に走った。

 

多額の借金もあったことで、友人、知人から信用を得ることは儘ならず、目標額の半分に止まった。

 

結局、奨学金申請をさせなかったことが裏目に出て、大学進学を諦めさせる結果となってしまった。

 

今更、どの面下げて娘に会えようか

 

掛け布団を払い除け、冷蔵庫に一目散に向かい、冷凍庫の中から凍って真っ白になったズブロッカの瓶を取り出すと、反動で中身の液体は瓶底からキャップに向かってゆっくりと波を立てた。

 

キャップの氷を落とし、ふきん被せて反時計回りに捻った。

 

桜餅のような芳醇な香りが何年か振りに鼻孔に向かって立ち上った。 

 

思わず、瓶を口に近づけた貴男だったが、

 

お客に、酒臭い息を吹きかけるわけにいかない。

  

サービス業の悲しい性。静かにキャップを閉めた。

 

戻りたくても昔の家庭に戻れないのだ。

 

貴男は眠れぬまま朝を迎えた。

 

 

胞子の奉伺(ほうし)

Column Column-8

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人類の宿主は地球であり、人類は寄生虫や菌類の一つにしか過ぎない。


宿主が死ぬと寄生している生物も死ぬ。

 

従って、寄生する生物は宿主に害を及ぼさないものが多い

 

自然破壊程度の環境破壊は、人類の環境を破壊することであり、地球の環境は破壊しない。

 

痛い目をみるのは地球ではなく人類であり、自ら首を絞める滑稽で希少な生物であるといえる。

 

更に滑稽なのは人類は宿主たる地球を破壊しえるものを地球上で生成していることである。

 

そして、地球の資源をとことん食い潰し、新たな宿主たる星を求め、胞子を飛ばすが如くロケットを打ち上げる。

 

無銭飲食たる人類を黙って見ている宿主とは到底思えない。

 

母なる地球に意思がないといつ誰が決めたのだろうか。

 

母は意思が無く子にだけ意思?単なる驕りではないだろうか?

 

人類は、意思表示をしない寡黙なものに意思が無いと決めつけたがる。

 

表示をしていないだけとは考えられないだろうか?

 

いっそ、意思がありますなどと看板をぶら下げてくれればラクなのに…。

 

残念ながら親は子を全面的に守る存在ではない。

 

鍛錬の重みを知っているのだろうか?

 

最初の試練は家庭内の親である。

 

このままでは近い将来、人類は淘汰されるであろう。

 

寡黙なのも、「気付きの猶予を与えてもらっている」という解釈も成り立つのではなかろうか。

 

人類など、全ての星が己の存在(生きる)意義を解明する為の実験道具であり、弄ぶ玩具の一つである。

 

弄ぶことに興奮を覚えるのも、生殖行動のエラーの一つ。

 

 地球のご機嫌をおうかがい申し上げる。そんな謙虚な姿勢が大事だと

 

酔いどれ物書きは妄想するのであった。マル!

「道化の涙に映る虹」第32話

Serial novel Serial novel-第32話

前話

upcyclist.hatenablog.com

 

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どこまで芝居を続けるつもりなのだろうか。

 

いずれ会いたいだの、金をくれだの言ってくるだろう。

 

貴男は暇潰しと空しさの間で返信を続けた。

 

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勤務を終え、ジャケットの内ポケットからスマホを取り出すとLINEの着信を知らせるランプが点滅していた。

 

アンナからだったので返信せず帰宅した。

 

風呂に入り、夕食を終え、ネットサーフィンを深夜まで続け、ようやくアンナのLINEに返信すべくスマホをタップした。

 

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耳介まで涙がはらりとこぼれた。

 

「パパちゃん。おとなになったら、いっしょにおだんごやさんやろうね」

 

みたらし団子が好きだった3才当時の娘の姿が浮かんでいた。

 

貴男は、返信する気力も失せ、電源を落とした。

 

upcyclist.hatenablog.com

 

「道化の涙に映る虹」第31話

Serial novel Serial novel-第31話

前話 

upcyclist.hatenablog.com

 

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ミラ・ジョヴォヴィッチばりの美人。

 

いくらウクライナに美人が多くても、この写真はやり過ぎだ。

 

貴男のテンションは下がり、自分からLINEする気も起きなくなっていた。

 

翌日の朝、貴男は身支度を整えながら、充電器に挿したスマホに目をやるとLINEの着信を知らせるランプが点滅していた。

 

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写真と文字のキャラクター性が一致しない。

 

違和感を持った貴男は返信しないでそのまま出勤した。

 

交代で遅めの昼食を取り、近くの海岸を散歩する貴男の脳裏には、相変わらず沙織の残像が浮かんでいた。

 

貴男は、スマホの時計アプリから世界時計を選択し、キエフの現在時刻を確認した。

 

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貴男は仕方なくサイコロを投げ入れた。

 

 

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詐欺業者を揶揄うつもりが逆に揶揄われ、貴男は少しムッとした。

 

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どのタイミングで化けの皮を剥いでやろうか。

 

手の込んだ三文芝居に苦笑する貴男だった。

 

 

upcyclist.hatenablog.com

 

 

「道化の涙に映る虹」第30話

Serial novel Serial novel-第30話

前話 

upcyclist.hatenablog.com

 

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やはり詐欺業者か…。

 

当初から、日本人の成りすましか、六本木辺りで働いているウクライナ人の可能性も排除していなかった貴男は、モデルの様なアンナの添付画像見た瞬間、確信へと変わっていた。

 

最初から出来過ぎた話しだった。

 

 

こちらが大したアクションも見せていないのにラインまで誘導する手口。

 

 

「面白い。騙された振りをしてやろう」

 

 

事実を確かめることは簡単だが、詐欺業者を揶揄うのは気晴らしに丁度良い。

 

 

もとより、沙織を忘れるがためにペンパルサイトに登録したのだ。貴男から早々に終止符を打つ必要性は無かった。

 

 

このままゲームを続けよう。しばらく様子を見て、金銭を要求してきたらすぐにさよならすれば良いだけ。

 

 

たとえ翻弄されたとしても今の貴男にとってはクスリの一つだった。

 

upcyclist.hatenablog.com

 

「道化の涙に映る虹」第29話

Serial novel Serial novel-第29話

前話 

upcyclist.hatenablog.com

 

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To bittukuri

 

こんにちは  ビックリさん

 

ペンネームは驚く方のビックリだったんですね。笑いましたよ。

何にビックリしたのですか?

 

キエフに遊びに行く時は、是非案内をお願いします。

 

僕が今住んでいるのは、静岡でも東の伊豆半島です。
現在は観葉植物と暮らしています。

本当は犬が飼いたいけど
伊豆は、東京に一番近い青い海があり山もある。

食べ物がおいしく、温泉がある観光地です。

ビックリさんが日本に来る時は案内しますよ。
伊豆だけでなく、東京出身なので東京も案内できます。
その他の地方も任せてください。

 

バレリーナだったんですね。

10年もやっていたんですか?素晴らしい!

キエフだから、もしかして、あの有名なキエフ・バレエ団?

 

今までラインはやっていませんでした。でもビックリさんと
話したくなったので、ラインを始めることにしました。

次のメールでお知らせしますから少し待っていてください。

 

写真ですが、仕事が忙しかったので最近は撮っていませんでした。
旅行とか遊びに行かないと写真撮らないですからね。
天気の良い日に近くの海で撮ってきます。
これも少しだけ待ってください。
待っていてもらう代わりに伊豆の美しい海の写真送ります。

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それでは また

 

貴男がキエフ・バレエ団を知っていたのは、以前、知人の女性が日本公演のチケットをドタキャンで余らせ、何人目かで連絡がついた貴男に半値で売りつけたからだった。

バレエを一度も見る機会が無かった貴男は興味本位で見に行ったのだった。 

 

 

upcyclist.hatenablog.com

 

コラム「生きることは痛みに耐えること」

Column Column-7

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他人に改めて痛々しい等と言われるまでもなく、痛みに耐えながら生きる自分。

 

人生は本当に辛い。

 

周囲の人を見てもそう思う。 心の痛み、身体の痛み。

 

辛くないと言う人間は、強がりか、鈍感か、本当に恵まれた者。

 

生きるということは生物だけの概念だと思うが、存在という概念は生物以外にも適用される。

 

ここで言う生物とは、ナマモノではなくセイブツ。

 

ナマモノならば対義語は干物ということになる。干物は確かに美味い!

 

話しを元に戻そう。

 

己の存在価値に悩み、疑問に思う生物、人。

 

その対義語の無生物の場合はどうだろう。

 

無生物が悩む?疑問?

 

頭おかしいんじゃないか?  そう思うのは自由。

 

もとより他の生物や無生物とはコミュニケーションがとれない人間。

 

身近な生物、犬や猫を思うと、人と共通言語を持たない存在とコミュニケーションを取る方法が何かある筈と思う自分が居る。

 

存在とは森羅万象であり、万物を肯定し、そこに居るということ。

 

勿論、生きると言うことも内包されている。

 

存在価値に悩む宇宙があるとすれば…。

 

当然、宇宙はそれを解明したいだろう。

 

古今東西ずっと世知辛いのは、その解明を目的とした生物学的な壮大な実験場の地球においては、至極当然と言えば当然なのかもしれない。

 

人は、宇宙のモルモットの一つに過ぎないのかもしれない。